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長い時間をかけて育つものとは [読書]

木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)

木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)

  • 作者: 西岡 常一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/07/28
  • メディア: 文庫







この本からたくさんのことを学べる。生きた教科書と言っていい。
仕事、人間、組織、教育。いろいろ考えさせられる。良い本とはこういう本のことをいう。

今の時代、仕事においても教育においても効率が求められている。より速く大量に効果的に生産することが正義で、ついていけないやつは単なる落ちこぼれに過ぎない。
だが、本当に優れたものは、早く効率よく育つのだろうか?

一方で、宮大工の仕事は2、3百年を見越した建物を造ること。法隆寺にいたっては千年だ。
人を育てることに関しても、大きな時間の流れに身を置く感覚でやる必要がある。
小川三夫さんは言う。

この大きな時間の流れが分からんのは、「耐える」ということを知らないからじゃないかな。<中略>弟子にはいって飯作りから、掃除、研ぎ、道具使いとどれにしても「早く」とはいかないからな。それぞれ一秒、一分、一時間、一年という時間が身に染みてわかるだろ。<中略>何も急ぐことはない。一見無駄なように思えるかもしれないけど、この時間の過ごし方が、技術の上でも人間的にも人を大きくするんだ。長い時間を耐えてきたら大きな仕事に向かってもけしてへこたれないよ。

こころに染みる言葉だ。
いま競争社会と言われる時代では、無駄なコスト・時間・資源を極端に嫌う。ほとんどの企業は人を育てることを放棄しさえしている。いつでも切り捨てられる非正規雇用を増やすような時代だ。
そうしてまで作っているものは、毎年毎年大量に生産しバラまかれ、数ヶ月もすればユーザに飽きられゴミ箱に行きになる。これこそ無駄以外の何者でもない。効率よくゴミを生産するという皮肉。

一方で、千年も持つ仕事の差は何だろう?この本を読めばそれが分かる。


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