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ものごとの本質をつかむ技術 [読書]

佐藤可士和の超整理術

佐藤可士和の超整理術


どの分野でもそうだが、ものごとの本質を捉えて進めないと、インパクトのある仕事はできない。ここでいうインパクトのある仕事とは効果的で影響力のある成果を出すことだ。
仕事というのは突き詰めて言えば、世の中にある何かしらの問題を解決することに他ならない。「ありたい姿」や「あるべき姿」に対する「現実の姿」とのギャップを埋める作業と言い換えてもいい。

ありたい姿というのは実際はあいまいで、具体的でなく、さらには問題をかかえている本人が気づいてない場合も多い。「何をどうあるべきか?」を誰も分かっていない。だから一番難しいのは、コンセプトやビジョンを見つけることかもしれない。

本末転倒に聞こえるが、世の中にあふれる製品のほとんどはコンセプトがあいまいなまま出来上がってきている。何をつくりたいのか作りながら考える。出来上がってから作りたいものが分かる。のが実際だ。
あのスティーブ・ジョブズですらそうだ。Macのデザインを何種類も作りなおさせ吟味して最終的に自分のイメージに合うものを選んで行く。クリアで具体的なイメージなど最初から頭の中にある訳ではない。

ビジョンやコンセプトがあいまいなのは、無意識の中に隠れているだけに過ぎない。それを掘り起こして意識化する作業を行う。その上で現実とのギャップを見つけ(問題点を顕在化し)ソリューションとなる広告のデザインを行う。佐藤可士和さんにとってアートディレクターとはそういう仕事だ。その過程に必要な強力なツールが「整理する」ことだ。

私は広告業界に関してはまったく知識がないが、佐藤さんが使っている「整理する技術』はどの分野でも通用するものだと思った。つまり、与えられた状況の中で、何が重要か重要でないかを見極め、不要なものを捨て、対象物をさまざまな視点で捉え直し、問題を見つけること。
問題を見つけた後にどう対処するか?は、佐藤さん場合が広告デザインであり、ここは専門性を必要とするところだ。この最後のアウトプットの部分は、各分野の仕事によって違ったものになるだろうが、前段のものごとの本質をつかむための技術は、どの分野の仕事であってもポイントになる部分だと思う。

佐藤さんの仕事のスタイルで特に印象的なのは、具体的なシーンに置いて効果を検証することだ。そのことに関して手間ひまを惜しんでいない。番組「プロフェッショナル仕事の流儀」の中で、キリンレモンのボトルラベルを何種類も試作し、冷蔵庫・リビングなど様々なシーンに置いて視覚的なイメージを検証していた。
 
プロなら当たり前かも知れないが、本質的な部分を追求しようとするあまり言葉遊びや哲学的で抽象的な議論に陥りがちなところを、常に具体性を持って取り組むところに、彼の成功の秘訣があると思う。


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